「フレイル」とは?

「フレイル」とは、簡潔に言うと「加齢により心身が老い衰えた状態のこと」です。

要介護状態には、健常な状態から「フレイル」という中間的な段階を経て要介護状態になると考えられるようになりました。

ただし、世界的な医学の世界でも、フレイルについては、まだ確立していない部分も多く、日本の医療上の診断基準もしっかりと確立されているとはいえず、実証と定義の確立を続けている途上といえます。

ですが、この「フレイルの時期」は、適切に支援をうけることで健常な状態に戻ることができる時期でもある!と言われています。

「フレイル」の状態や兆候を知ることは、身体的・精神心理的・社会的に不健康になることを予測し、予防することにつながります。

こちらでは「フレイル」について、ご紹介します。

「フレイル」とは?

「フレイル」とは?
健常から要介護へ移行する中間の段階を「フレイル」と言います。

身体的問題だけでなく、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題が含まれる、多面的な概念のことです。

高齢者の多くの場合、このフレイルの時期を経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられており、フレイルの時期に心身および社会性など広い範囲でダメージを受けたときに回復できる力が弱くなり(生理的予備能の低下)、環境や外敵からのストレスに対しても抵抗力が弱くなります。

ですが、このフレイルの時期に適切な支援をうけることで健常な状態に戻ることができる時期とも言われています。

ネットの情報はたくさんあふれていますが、公益財団法人長寿科学振興財団が運営している「健康長寿ネット」では、高齢期を前向きに生きるためのお役に立つ様々な情報を提供していますので、併せてこちらもご覧ください!

⇒こちらより健康長寿ネットホームページ『フレイル(虚弱)』をご覧になれます。

フレイル状態になると、どうなるの?

フレイル状態になると、どうなるの?
・動くことが少なくなる
・社会的に交流する機会が減る
・身体機能の低下(歩くスピードの低下など)
・筋力の低下・筋肉量が減る(サルコペニア)
・認知機能が低下する
・疲れやすい
・元気が湧かない
・日常管理が必要な慢性疾患(糖尿病、呼吸器疾患、循環器疾患、関節炎、抑うつ症状など)にかかる

先述したようにフレイルとは、身体的問題だけでなく、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題が含まれる多面的な概念のことです。

フレイル状態は、何かの原因があって引き起こされるというよりも、加齢に伴う以下のさまざまな心身の変化と社会的、環境的な要因が相互に影響し合い、徐々にフレイル状態になり、さらに虚弱な状態に陥らせ、フレイルから要介護状態へと移行させます。

例えば、健常な人が風邪をひいても、数日で治ることが多いですが、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。

また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。

転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。

フレイルの予防

フレイルの予防
フレイルの状態に、家族や医療者が早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。

高齢者においては、特にフレイルが発症しやすいことがわかっていますので、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。

健常な段階から、フレイルを予防するには、生活習慣病の予防をしながら、運動機能・認知機能の低下を防ぎ、社会的に関わりを保ち続けることが大切になります!

慢性疾患がある場合

慢性疾患がある場合
既に糖尿病、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患などの慢性疾患がある場合には、まず持病のコントロールをして、悪化させないことが大切!

何故なら慢性疾患により、行動が制限されたり、さまざまな症状が現れると、体を動かしたがらなくなったり、身体機能が低下してしまう場合があるからです。

また、加齢とともに免疫力が低下していることが多く、免疫力の高いときなら問題にならない体内の常在菌による感染症にかかるなどして、そのまま寝たきりになってしまうこともあります。

負担にならないよう、医師や薬剤師に相談し、現在の状態を維持・継続しましょう。

低栄養について

低栄養について
低栄養は、フレイルを起こす最大の要因!

さまざまな栄養素をバランスよくしっかりと摂取して、低栄養状態に陥らないようにしましょう。

特に一人暮らしの場合は「食事の品数が減る」「食べる食材が偏る」「食欲の低下」などにより、低栄養状態に陥りやすくなります。

また、加齢とともに「歯が抜ける」「嚥下機能の低下(加齢に伴い飲み込む力が弱くなると、食べものや飲みものが気管に入る「嚥下困難」が起きる)」などから、食べ物が噛みづらくなると、食べるのが嫌になったり、うまく飲み込めなくなることから、低栄養を起こすこともあります。

「食べづらさ、飲み込みづらさ」がある場合、そのままにせず、嚥下機能を保つリハビリをするなど、食べる機能を低下させないようにしましょう。

運動習慣を取り入れる

運動習慣を取り入れる
運動機能を維持するためには、日常生活で運動習慣を取り入れることが大切です。

特に筋力や筋肉量は、適切な運動や栄養摂取により比較的短い期間で取り戻しやすいといわれています。

日常生活の行動に、少し運動を取り入れたり、歩く時間や距離を伸ばすなどして、毎日続けられる方法を、少しずつ始めましょう。

また、運動して運動機能を維持するにも、体をつくる栄養素(たんぱく質やカルシウムなど)が必要です。

社会とのつながりをもつ

社会とのつながりをもつ
「社会とのつながりをもつ」これが結構大事なことでもあります!

加齢につれ、社会的地位や家族の役割の変化、家族や友人の喪失、些細なことからでも、気力や活気が失われてしまうのです。

気力や活気が失われてしまうと、外出する機会や気力が失われ、家に閉じこもりがちになり、身体的フレイルへと進行することも少なくありません。

友人との付き合いも、もちろんですが「新たなつながりをつくる」地域に貢献するなど「役割」を担うこと、人との関わりを保ち続けることは、身体的、精神心理的フレイルの進行予防になります。